アート

【レポート】『抽象世界』展に行ってきました @国立国際美術館【作品も紹介】

大阪の国立国際美術館で開催中の、抽象世界展に行ってきました。
面白かったので、感想を交えつつレポートしようと思います。

私が気になった作品の紹介(簡単な解説つき)も。

行こうか迷われている方に、少しでも雰囲気をお伝えできたらいいなと思います。

 

※写真撮影は禁止なので、画像は公式の画像を引用させていただいています。

 

国立国際美術館Facebookより

コレクション特集展示『ジャコメッティとI 』も、同時開催中です。

抽象世界展の観覧料金のみで、こちらもご覧になれますよ!

1.展覧会の主旨

 

抽象表現がアートシーンの中心的存在だったのは、20世紀初頭(ワシリー・カンディンスキーらによる前衛芸術)と、1940年代後半~60年代ごろ(ジャクソン・ポロックによるアクションペインティングなど)です。

それ以降、抽象表現はアートシーンでは中心的存在ではなかったのですが、近年「復活」の兆しをみせているといいます。

そしてそれらの特徴は、過去のさまざまな概念や手法を活用した新しい表現になっていることです。

この展覧会は、その「復活」の作品たち(1980年から40年間の欧米の抽象芸術作品)を大阪で見られる貴重な機会となっています。

 

国立国際美術館 Facebookより

 

以下、公式ホームページより引用です↓

いま抽象芸術が復活しています。前世紀初頭の前衛芸術としての抽象と戦後美術批評に擁護されたアメリカの抽象が、美術史上の主要な先例であり代表的動向でもある抽象芸術が、近年ヨーロッパとアメリカにおいて注目を集めています。

1970年頃のいわゆる絵画の死が、続く時代の絵画の端緒となり、80年代以降の美術活動は、進歩史的な美術観から解放され、美術遺産と柔軟な関係を結びました。抽象芸術は80年代以降、先行する抽象的な作品だけではなく、過去の美術の様々な概念や手法を活用してきました。そうして、融通性があって、混成的で、拡張的なものとなりました。創成期の絶対性は効力を喪失し、モダニズムの教条主義を超克した現況下に、新しい抽象芸術が誕生しています。

本展の焦点は、1980年以降今日までの約40年間のヨーロッパとアメリカの抽象芸術です。80年以前に活動を開始した歴史的な美術家の作品も含みつつ、独創的で魅力的な抽象作品を、絵画を中心に彫刻も交えて紹介する貴重な機会となります。

2.出品作家一覧

欧米の作家たち13名(42作品)

 

エルズワース・ケリー(1923-2015)
ラウル・デ・カイザー(1930-2012)
ダーン・ファン・ゴールデン(1936-2017)
フランツ・ヴェスト(1947-2012)
ジョン・アムレーダー(1948-)
ギュンター・フォルグ(1952-2013)
ミハエル・クレバー(1954-)
クリストファー・ウール(1955-)
ハイモ・ツォーベルニク(1958-)
ウーゴ・ロンディノーネ(1964-)
トマ・アブツ(1967-)
スターリング・ルビー(1972-)
リチャード・オードリッチ(1975-)

展示風景 国立国際美術館Facebookより
展示室の仕切りが取り払われ、大きな空間でゆったりと鑑賞できるようになっています。

3.気になった作品を紹介

個人的にですが気になった作品(作家)をピックアップしてご紹介します。

☆エルズワース・ケリー

斜めの黒いレリーフ 2010 Estate of Ellsworth Kelly,©Elllsworth Kelly Foundation,Courtesy Matthew Marks Gallery

アメリカ生まれパリ在住の作家。
キャンバスの上を黒いレリーフが斜めに横切る、一見シンプルな作品。
日常の紙くず、割れた窓などから形態を抽出して作品作りをしています。
現実世界を出発点としつつも、作品自体がものとして立ち上がるような絵画を目指しているそうです。
この作品は、目に見える世界を抽象化した代表的作品と言えます。

 

☆フランツ・ヴェスト

無題 2011 Estate Franz West,Vienna,©Archiv Franz West,©Estate Franz West

オーストリア生まれの作家。
岩のようで岩でない、カラフルな立体物。
作品の意味は常に変化するという考えを軸に、鑑賞者と作品の対話を大事にした制作をしています。作品を神聖視するような風潮を転覆させようとする意図をもっています。

☆ジョン・アムレーダー

大さじ 2016 Courtesy of the Artist and Almine Rech ©John Armleder Photo by Annik Wetter

スイス・ジュネーブ生まれの作家。
キラキラした、鮮やかな描画が目を惹き、色んな角度から見てみたくなる作品です。
作品を通して、制作者の独創性を絶対視する近代美術館に対して冷ややかな立場を表明します。芸術を過去の歴史文脈から切り離し、誰でも使えるような形態まで落としこむことを試みています。

 

☆ミハエル・クレバー

《MK/M2014/15, MK/M2014/19, MK/M2014/10, MK/M2014/12, MK/M2014/05, MK/M2014/17》(部分)2014年 Collection of Jennifer and David Millstone, courtesy Galerie Buchholz, Berlin/Cologne/New York

ドイツ・ケルン生まれの作家。
緑一色で、キャンバスを一部塗った「だけ」に見える作品。
同じ大きさのキャンバスが、6枚並んでいます。
「絵画において可能なことはすべて成されているので敢えて創造しようとはしない」
というのが基本的な立場です。
月並の絵画技術と個性の誇示を拒絶し、作者のアイデンティティを感じさせないスタイルにこそ想像の域を超えた可能性がある、と考えます。

 

☆ハイモ・ツォーベルニク

無題 2010

オーストリア生まれの作家。
同じサイズの正方形のキャンバスに、ストライプやモザイクの模様。
作品は作者の主観を排除し、意図的にすぐに美術作品とは見なしがたいものになっています。
展覧会という枠組みで、「何が展示物を芸術として成立しているか?」を考えている作者。

 

☆ウーゴ・ロンディノーネ

二千十四六月二十二 2015 公益財団法人石川文化振興財団蔵 ©Ugo Rondinone

スイス生まれの作家。
ぱっと見、ただレンガの壁です。が、紛れもなく絵の具で作り上げられ、裏に回ると木枠とキャンバスが丸見えで「絵画」であることが強調して感じられます。
これは現実のレンガなのか?絵画なのか?わからなくなる、超現実的な感覚を抱かせます。

 

☆トマ・アブツ

Tewes 2010 Collection of Igor DaCosta Courtesy of thr Artist;greengrassi,London photo by Marcus Leith

ドイツ・キエル生まれの作家。

線と影で画面が画面が作られています。

興味深いことは、作品作りにおいていくつかの決まりを作者自身で持っていることです。
・48cm×38cm
・制作前に完成形を決めずに書き出す
・定規やテープは使わない。
・長い時間をかけて描き、塗り重ね、削る行程を繰り返す。

見る方向によって塗り重ねた痕跡が見え、描くプロセスが見えてきます。
幾何学的構成なのに、なぜか手書きの暖かみを感じるのが不思議です。

4.実際の混雑状況・感想

日曜日のお昼頃に訪問しましたが、混雑もなくストレスなく鑑賞できました。

休日でもゆったりと鑑賞できると思います。

展示物の説明は壁などにはありませんので、ぜひ音声ガイドや図録の解説と合わせての鑑賞をおすすめします。作品の奥深い面白さを見逃すともったいないな、と思いました。

 

本展は8月4日まで開催中です。ぜひ会場でご覧になってみてはいかがでしょうか。

5.展覧会情報

開催地   国立国際美術館 地下3 階展示室
住所      大阪市北区中之島4-2-55
スケジュール    2019年5月25日(土)~8月4日(日)

開館時間    10:00 ─ 17:00、金曜・土曜は20:00まで

※7・8月の金曜・土曜は21:00まで
※入場は閉館の30分前まで

休館日    月曜日(ただし、7月15日(月・祝)は開館し、翌日休館)

観覧料     一般900円(600円) 大学生500円(250円)

※( )内は20名以上の団体料金
※高校生以下・18歳未満無料(要証明)・心身に障がいのある方とその付添者1名無料(要証明)
※本料金で、同時開催の「コレクション特集展示 ジャコメッティと Ⅰ」もご覧いただけます。

夜間割引料金(対象時間:金曜・土曜の17:00以降)一般700円 大学生400円

音声ガイドあり(有料) 「抽象世界」「ジャコメッティとⅠ」両方の解説をお聴きになれます。

  • 主催:国立国際美術館
  • 協賛:ダイキン工業現代美術振興財団

展覧会ホームページ  http://www.nmao.go.jp/exhibition/2019/chusyo.html