アート

【1枚の絵画紹介】エドワード・ホッパー『二階の日差し』

 

本日の一枚の絵はこちらです。

 

エドワード・ホッパー『二階の日差し』ホイットニー美術館 1960年

 

まぶしい陽光が、建物の壁を照らしているのが印象的なこの作品。

 

作者のエドワード・ホッパーはこの作品について

「陽光をできる限り白く、ほとんど黄色の顔料を思量せずに描くための(略)1つの試み」

と説明しています。

ホッパーの光は、光にさらされたものとの間の違いは埋まらないように描いているようです。冷たい印象で、人工的に感じます。

この光の描き方は、同世代の画家で同じく光を重視した、ジョルジョ・モランディと対照的です。モランディの光は下の作品を見ていただいてもわかるように、光と照らされたものが調和し、輝き、暖かみがあります。

ジョルジョ・モランディ『On the Outskirts of a Town』1941年

そしてホッパーは、『二階の日差し』においてただ試みとして陽光を描いたではなく、他の絵と同様いくつもの暗喩を絵に持たせています。

午後の日差しを受けたバルコニー、見たところは平穏な情景が描き出されていますが、いくつもの対が絵にちりばめられています。

・世代の異なる二人の女性
・後ろに二つの窓
・照らされた建物の四つの二階の窓
・右側の、太陽に照らされた四本の木の幹

これらが、若い女性と年老いた女性の対照的な描写や、自然と建築物の対立を感じさせませんか。

ここがどこかは、完全には明らかになっていませんが、おそらくケープコッドのどこかでしょう。

手前のバルコニーには異なる世代の二人の女性が座っていますが、一人は雑誌や新聞を広げた年上の女性、一人は青い水着を着て、注意を引くかのように胸を突き出している若い女性です。

二人はバルコニーの中に閉じ込められており、しかし奥の建物の暗い壁により視覚的には強力にに分離されてもいます。

二人の女性の背後には、それぞれ窓が描かれていますが、年上の女性の方の窓はブラインドが引き上げられているのに対し、若い女性の後ろの窓は半分または完全に締め切られています。

英語タイトル『Second Story Sunlight(二階の日ざし)』は、文字通り「第二の物語」でもあり、二人それぞれの別の人生を暗示しているようです。

 

参考文献

ロルフ・ギュンター・レンナー(2001)『エドワード・ホッパー』(タッシェン・ニューベーシックアートシリーズ)国際コミュニケーションズ.

ヴィーラントシュミート(2009)『エドワード・ホッパー アメリカの肖像』(岩波アート・ライブラリー) 光山清子訳,岩波書店.