アート

【レポート】『ギュスターヴ・モロー展』に行ってきました@あべのハルカス美術館

大阪・あべのハルカス美術館で開催されています、

『ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち』

に行ってきました!

とても興味深い展覧会でした。

モローの女性崇拝というか、女性に対する神秘的な思いを覗き見たような気分です。

 

作品自体は、油彩の完成作品は意外と少なく、水彩画や素描などの習作が多かったのですが、

習作から完成作に至るまでのモローの試行錯誤を感じ取ることができました。

第2章以降は、聖書やいろいろな神話を知れて、うっかりいい勉強にもなりました。

 

 

ちなみに、この展覧会は、東京・大阪・福岡の3会場で開かれるのですが、

水彩・素描・写真資料については、作品保護のために1会場のみの展示となっています。

なかなか難しいことですが、3会場全てに行っても楽しめるということですね。

油彩画は一部を除き、ほとんどを全会場で見ることができます。

展覧会の主旨

ギュスターヴ・モロー 24歳の自画像 1850 キャンバスに油彩 41×32cm ギュスターヴ・モロー美術館蔵 Photo ©RMN-Grand Palais / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF

ギュスターヴ・モロー(1826‐1898)はフランスの画家で、象徴主義の代表的な存在です。

 

パリのギュスターヴ・モロー美術館はモローの自宅兼アトリエだった建物です。

住宅街の中にあり、美術館としては小さな建物ですが、館内には天井まで隙間なくモローの絵画が展示されています。

空間の中で1枚でも多くの絵を観覧できるように、鑑賞者が引き出して閲覧できる展示の工夫もユニークです。ぜひ行ってみたい美術館です。

今回の展覧会は、そのギュスターヴ・モロー美術館所蔵の作品のみで構成され、

モローの描いた「女性」をテーマにした展覧会です。

展示構成

第1章.モローが愛した女たち
第2章.《出現》とサロメ
第3章.宿命の女たち
第4章.《一角獣》と純潔の少女

印象的だった作品

・『パルクと死の天使』

ギュスターヴ・モロー (1826-1898)
《パルカと死の天使》
1890年頃
油彩・キャンヴァス
110x67cm
ギュスターヴ・モロー美術館、パリ

モローの恋人の死後、描かれた作品です。荒いタッチが、モローの悲しみを感じさせるようです。

 

・『出現』

《出現》 1876年頃 油彩/カンヴァス 142×103cm ギュスターヴ・モロー美術館蔵 Photo(C)RMN-Grand Palais / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF

本作は、サロンのために描かれたものの完成されなかった作品。後年に線描が加えられました。

サロンには一回り小さい水彩画の『出現』を代わりに出品したそうです。

 

・《サロメ》のための習作群

《踊るサロメ、通称入れ墨のサロメのための習作》 インク・鉛筆/紙 54.5×37.4cm ギュスターヴ・モロー美術館蔵 Photo(C)RMN-Grand Palais / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF

古代エジプトの女神像、インドの女神像、インドの細密画などを参考にして、オリジナルの衣装を作り上げたそうです。

 

・『神秘の花』

ギュスターヴ・モロー 1890年頃《神秘の花》水彩、木炭、白グアッシ/紙 ギュスターヴ・モロー美術館、パリ

殉教者たちの血から白ゆりが咲き、そこに聖母マリアが座るという背筋がざわつく構図です。

感想

 

作品数は170点ほどで多くはありませんが、一点一点異なる絵の由来、聖書や神話の解説を読んでいて時間を要しました。

モローは主題を神話や聖書に置くことが多く、母親や恋人の肖像を除くと完全にオリジナルといえる内容はあまり描かなかったのかもしれません。

ですが、その主題の解釈にオリジナリティを追求していたことがわかります。

ただ神話や聖書をそのまま伝えるために描いたのではなく、主題を通して人間の内面世界を描き、真実を見出そうとしたのです。

展覧会の副題にもなっている「宿命の女(ファム・ファタル)」をテーマとする作品を数多く残したモローですが、「男を惑わす悪女」という一般的に知られる一面だけでなく、女性の多面的で神秘的な魅力を、色々な主題を用いながら追求し続けていたように感じました。

 

また、「絵画の役割は写実性よりも感情をゆさぶること」というモローの意図もあり、感情むき出しのような荒いタッチの作品も興味深かったです。

 

余談ですが

鑑賞中に、何度か画家の天野喜孝を想起することがありどうしてだろうと思っていたのですが、

天野喜孝がモローに影響を受けていたらしく、納得しました。

インタビューで天野が「自分の絵柄や個性がわからなかったので、モローやミュシャの作品を真似していった」と話していたそうです。(フランスのMana Booksが出版する「Final Fantasy Memorial Ultimania official encyclopedia」のために撮影されたドキュメンタリー映像)

YouTubeにありました↓

主題がファンタジーであることと、少し影のあるメランコリックな人物の顔つき、華麗な装飾デザインが、私の中で2人をシンクロさせたようです。

天野喜孝さんファンもギュスターヴ・モロー展を楽しめると思います。

 

鑑賞後も後をひく、深淵な世界にひたれました。

気になる方はぜひ会場でご覧になってください。

混雑状況・所要時間

・混雑状況(祝日の午後1時頃) ☆☆☆★★

休日のためか、少し混雑していました。チケット売り場や入場待ち時間などはなかったです。

作品前に人がいるとちょっと待つこともあります。

1作品の前に平均2人

 

・所要時間

1時間半~2時間半程度

展覧会情報・巡回情報

*大阪展の後は、福岡に巡回(福岡市美術館 2019年10月1日(火)~11月24日(日))予定です。

 

会場   あべのハルカス美術館     大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F 

・開催期間2019713日(土)~923日(月・祝)

・休館日   722日(月)、729日(月)、85日(月)

・入館料

当日(前売・団体)

一般・18歳以上  1,500円(1,300円)

大高生  1,100(900円)

小中生  500(300円)

・主催  あべのハルカス美術館、読売新聞社、読売テレビ

・後援  在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本

・協賛  大和ハウス工業、光村印刷

・特別協力  ギュスターヴ・モロー美術館

・企画協力  NHKプロモーション

・協力  日本航空